折り畳まれたわたしの夢
実際にはたった数分しか経っていないのに、映画一本分の夢を見ることがある。
そういうとき、時間は小さく折り畳まれた紙のようなものだなと思う。
この現実も、意識が見ている夢だとしたら...
意識からしたら、人生の何十年はたった一瞬かもしれない。
前世と合わせても、それは折り畳まれた小さな紙だ。
開いて読めば長い長い物語が描かれている。
その一行一行を大切に、愛おしく読むのがこの人間のわたしだ。
会えば嬉しいし別れれば悲しい。
恐ろしいことも温かいことも、これしかないのだとしがみついて生きる。
それを積み重ねた人生を「あー長かった」と振り返る自分が感じているのはたった数分。
その数分の中にあらゆる出会いと別れと、全ての感情があった。
質量、密度、重さ。
それらは実際の時間の長さに合わない道具ではかられる。
「短い」とも、もしかしたら思わないのかもしれない。
このわたしは夢を忘れるみたいにだんだん薄くなる。
ならこれはなんだ?
一体なんのために?
包括するエネルギーが風を起こした。
螺旋を描き上昇する。
安心の成分が空気に混ざっていく。混ざっていく。