story

きみがいた

恋ってキッチンとか、ベランダとか、生活の中にあって、わたしはそういうのが好きなの。 生活にならない恋ってつまんない。そんなのいらない。 ぼくの元宇宙人の恋人がつぶやいた。 彼女はいつも鼻歌を歌っている。 人間になって以来、彼女は恋愛の味にはま…

折り畳まれたわたしの夢

実際にはたった数分しか経っていないのに、映画一本分の夢を見ることがある。 そういうとき、時間は小さく折り畳まれた紙のようなものだなと思う。 この現実も、意識が見ている夢だとしたら... 意識からしたら、人生の何十年はたった一瞬かもしれない。 前世…

プロローグ

何年も前に書いた文章。 天使ブームなので、載せておきます。 ✳︎ 目の前にはたくさんの、数えきれない天使。 空を見上げたらさらに無数の天使が私たちを見下ろしている。 翼の音。 まるで竜巻の真ん中にいるような、だけど優しいエネルギーにあふれた天使た…

【特別公開】乙女座の記憶と天使の子犬

満月のよみものシリーズ 二月 乙女座満月 乙女座の記憶と天使の子犬 作:うえかわ 聡美 絵:みう 「乙女座は琴を弾き、リラの美しい記憶を蘇らせる。」 名札のところにそう書かれた一枚の絵の前で、青年は立ち止まりました。 花畑の中で不思議な楽器を弾いて…

どこかの本の1ページ。

軽く一杯赤ワインでも飲んでから帰ろうと思って立ち寄ったカフェで、わたしは思いの外長い時間を過ごしてしまった。 途中からその店でギターの演奏があって、なんとなく席を立つタイミングがわからなくなったから。 じっくりと過ごすうち、わたしは角の席に…

物語は癒すこと。自作自演の人生そのもの。

こんにちは! 最近のわたしは「物語」について取り憑かれたように研究しているのですが、今日はそんなお話! 大好きな村上春樹さんのニューヨーカーでのインタビュー記事を読んでやっぱり物語はヒーリングなんだあと感じたので紹介します。 インタビューの中…

夜中のメモ。物語のかけら。

最近夜寝る前に本を読むように宇宙の物語をリーディングしています。 全然完成していないし、意味もわからないけど、このブログの最初の目的は「物語のかけらを綴ること」でした。 ちょっとずつメモしていきますね。 ------------------------------------ …

祝福の物語。その音。

紅茶が入ったカップをテーブルに置くコトンという音をサインに、パソコンに向かって文章を綴る少し未来の自分が見える。 語られるべきストーリーはもうそこにあって、それは時を待っている。 一寸の狂いもなくその物語は作者に降り注ぎ、あふれだすようにし…

ヴァイオリンにのってやってきた謎すぎる物語

こんにちは!聡美です。 昨夜はヴァイオリンとピアノのコンサートに行ってきました。 クラシックを聴くと気持ちがいいですね。 苦手という人は、「寝てもいいや〜」っていう気持ちでいくと楽しめるかも。 カラダに気持ちがいいから、眠っちゃうことも全然い…

空っぽの人間カメラと生の余韻。

前回の記事と関連してます。 みんな共通の場所をみている。 死んでしまってもいなくなってしまっても、生の余韻がある。 いろんな人を、場所を、時間を往き来して混ざったわたしたち。 人間は空っぽで、導かれて引っ張ってきて、自分なんて意味ないような気…

物語を綴ること。出来上がるそのエネルギーを読む。見る。

こんにちは!聡美です。 今わたしがはまっている吉澤嘉代子という歌手、インタビューを見ていたら彼女の本棚が映ったんだけど、そこにあった本がわたしが大好きなものとかぶっていてびっくり。 いしいしんじの『ぶらんこ乗り』『その場小説』『プラネタリウ…

なんとか流星群

何座流星群だったか覚えてないけれど、小さいときに流れ星の大群をみた。 早い時間、夕方に寝て、夜中に起こされた。妹とお揃いのシルバーの光るダウンをきて、眠い目をこすって外にでる。荷物を車につみこむパパ、料理を用意してお弁当箱に入れるママ。よく…

鉄棒から手を離すこと。

颯太は怖かったけれど、思い切って手を離した。 するりと銀色の棒を離れた両手はまっすぐにのびて下へ下へと足から落ちていく。 目を閉じるとほこりの匂い。鼓動はどきどきと全身を音になってかけめぐる。 戻れないかもしれない。 颯太はふと考えた。このま…

決断のために必要だったこと。

演奏者全員耳のきこえない楽団があったらとてもすばらしいだろうな。 とその男は煙草をふかしながら言った。 音、とくに音楽っていうのは目に見えるエネルギーだから、 当たり前に男は言う。 よりきれいに音が見えるその楽団では高く美しい色の合奏がされる…

J

彼はほのぐらいホテルのフロントに座って、旅行に行こうかと考えていた。 (外は雪だ。ホテルってのは、外から見るといつだって周りの倍は明るい。しかし中に入ってみると驚くほどほの暗い。) ぼんやりと、取ることのできない休暇について考えていると、こ…

ある港町のおとぎ話

その日オオカミが見つけたのは、大きな種だった。 獲物を探して歩き回っているとき、彼は何かにつまづいた。 雨が降っていた。 かみつこうとすると、それは声を発した。 声といえるだろうか。 何か音の波動のようなもの。 しかしオオカミは絶対に声だと思っ…