「貧乏」に含まれる特有の切なさ。

f:id:soiree-etoilee:20171031161159j:plain アパートへの帰り道、寒い空気に触れること。

狭いベランダからのぞく、隣の家の庭。

冷房がきいていない部屋で、ふたりきりで過ごす夕方。

たくさんの人がそこに美しさを見出して歌詞として歌ってきた「貧しさ」。

「貧乏」「お金がない」という状況がなんとなく素敵なのは、

きっとそこに愛しか残っていないから。

それから絶大な若さによる、未来への希望。

好きなものが食べられなくても、贅沢できなくても、一緒にいれば楽しい。

むしろそのなにもなさからは「ふたりきり」が強調されて、まるで世界にたったふたりしかいないよう。

すきま風だらけの部屋の中、ベッドで手をつなぐ。

わたしたちは愛しか見つけることができなくて、心はほっと満たされる。

涙がでる。

未来への期待と、いま見出した幸せと、ちょっとだけ過去への後悔。

みんなみんなそれを抱きしめて、目の前の相手を愛おしく思う。

いつかなくなる今と、同時に存在する今。

どれも胸がしめつけられるように大切なのは、愛しか見つけることができないから。

愛しかないから。

それを今だけ、あなたと。